「ロウ引き」という言葉を聞いたことありますか？？

ロウ引きとはロウソクなどで使われるロウを溶かし、紙に染み込ませる加工のことです。
（ワックスペーパーとも呼ばれます）
ロウ引き加工を施すことで、紙自体の撥水性や強度を高めます。
見た目はテカテカしてどことなくアンティークな風合いになり、それはそれは可愛い紙なのです。

ロウ引きされた和紙は昔の印刷技術である「ガリ版印刷」にも使われていた、というとピンとくる方も多いかもしれませんね。

ガリ版印刷につかわれる薄くてペラペラの和紙は「謄写版原紙」といいます。
謄写版原紙をロウ引き加工して、ガリ版印刷に使うんです（ここでは謄写版原紙をロウ引きした和紙を「ロウ原紙」と表記します）
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和紙専門店Washi-naryの経営元である機械抄き美濃和紙メーカー丸重製紙企業組合は
かつて謄写版原紙を生産していたこともあり、今回Washi-naryでロウ原紙を取り扱う計画をすすめることに。

市内で同業の昭和紙工さんに依頼し、丸重製紙で作った和紙をロウ引きしていただく流れとなったのです。

ロウ引きはかつては手作業で行われていたのですが、コピー機普及による需要の減少や機械化によって
現在手作業でロウ引きをしているのは昭和紙工さんだけになってしまったんだとか。

今回は特別に、貴重な作業風景を見学させていただきました！！

向かった場所は岐阜県美濃市某所。
川や山々に囲まれた静かな集落です。

カチョン、カチョン、と何やら作業の音がする立派なお宅の一角。
手作業でロウ引きをしてくださっている佐藤さんの職場です。

こちらの集落はかつてはどこの家庭でもロウ引き和紙の生産をしており
最盛期は朝6時から夜10時までほぼ毎日作業、1日5000枚ほど作っていたんだそうです。

す、すごい…

美濃市のロウ引き作業は2人１組で行い、今は佐藤さんと娘さんの二人でロウ引きをされています。
（地域によっては1人で行うところもあるようです）

薄い和紙をロウのついたローラーに挟み、回して和紙全体にロウを塗り
もう一人がロウのついた和紙を引き出して作業を行います。

ロウはだいたい90度ぐらいをキープ。
それより温度が高かったり低かったりするとうまくいかないんだそう。

ロウはすぐに乾くので、引き出したロウ原紙はそのままフワッと重ねても大丈夫。
実際に触ってみると一瞬で乾いてツルツルになっているのでとても不思議でした。

この光沢…！たまらないっ…！！！

作業していらっしゃる佐藤さまは、何十年もロウ引きをされている大ベテラン。
「簡単そうにみえるやろうけど、結構難しいんやよ。うまくできるまで何年もかかった」
わたしも少しやらせていただきましたが、うまくいくわけもなく…（汗）

今回一番感じたことは”手仕事の美しさ”
大変で時間はかかりますが、それでも長年培ってきた技術から生まれる和紙は一枚一枚とても美しく愛おしく思えます。
技術もこの光景も、もちろん和紙も全部守っていきたい大切なものだと感じました。

佐藤さんが心を込めてロウ引きしてくださったロウ原紙は、完成したらＷａｓｈｉ－ｎａｒｙに届く予定です！

Twitterで教えてもらったのですが
現在世界中で大人気の「本好きの下剋上」にロウ引きのシーンが出てくるとか！！

★☆★速報★☆★
今回のロウ引き動画をＡＢＥＭＡ ＮＥＷＳ「ＡＢＥＭＡ週間ＢＵＺＺ動画」さんで放送していただきました！
放送アーカイブは「ＡＢＥＭＡビデオ」からご覧いただけます。
ぜひご覧ください(*’ω’*)

見学させてくださった昭和紙工さま、佐藤さま、ありがとうございました！！！

執筆：和紙成子

《感性を刺激する！クリエイティブに生きるあなたへ》